
昨年末ごろから、ソウル都心の乙支路エリアの開発が急に進み注目を集めています。もちろんこうした都市開発は今に始まったことではありません。ソウル市のあちこちで古き良き街並みがブルドーザーで壊され、個性のない高層マンションが続々と生まれています。
そうした中でも乙支路エリアは、ソウルの中心にも限らずエアポケットのように小さな工場が密集しており、そのため息の長い庶民的な飲み屋や名店も多く、近年は家賃の安さに目を付けた若者たちが、隠れ家のように個性的なショップを出店し始めたこともあり、多くの人々に愛される地域となっていました。ソウル市長は開発の再検討を発表していますが、一方で撤去作業の勢いは止まることはなく、ソウル市に失望する人が増えています。
私たちも冬のある日、歴史と人情が積み重なる光景を惜しみながら、乙支路の街を散策しました。




そして今月、開発とは別の文脈で、乙支路に関する悲しいニュースが聞こえてきました。1980年から続く味のある飲み屋「OB HOF(ホプ)」が、家主の一方的な決定により追い出されることになってしまったのです。
韓国ではだいたい2年ごとに不動産を契約しなおすことになるのですが、契約更新時に「別の人に貸すことになったから出て行ってほしい」と言われてしまったそう。2代目社長にとっては思い入れのある店舗であり、家賃を倍出すと提案しても、応じてくれないそうです。
現在訴訟中とのことですが、一体どうなることでしょう。韓国の現状の法律では先行きは厳しそうです。


