Gofishとイ・ランのライブを終えて

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    去る5月24日、名古屋を拠点に活動する、Gofishことテライショウタさんのライブが雨乃日珈琲店で開催されました。イベントを企画してくれたのはパク・ダハム君で、翌日には乙支路のスペース「新都市」の4周年ライブにも出演しています。個人的にも期待大のライブでした。

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    オープニングを務めたのは、日本でGofishと共同作業もしているイ・ラン。弾き語りで、新曲を中心にたっぷり(まさかこんなにがっつりライブするとは……)披露してくれました。当店でイ・ランが演奏してくれたのは、2014年のタラ・ジェイン・オニールのライブ以来だったので感慨深かったです。当時に比べずいぶん貫禄が増したように感じます。

    イ・ランはMCで、「ショウタ先生」ことGofishを紹介。彼女が彼を「先生」と呼ぶのは、日本でのライブの際、食事する暇もなく何時間もコーラス練習をさせられたからだそうで、リスペクトも伝わるざっくばらんな彼女のトークに、会場の雰囲気は温まります。

    メインアクトのGofishは、ギター1本で厚みを感じさせる素晴らしいライブを展開。初めて彼の演奏に触れる人も多かったはずですが、皆その世界に引き込まれている様子でした。

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    途中からイ・ランがコーラスとして参加し、Gofishの曲やカバー曲を披露。やはり圧巻だったのが、アルバム『燐光』でも美しいハーモニーを聞かせてくれた『肺』。永遠に続いてほしいと思える、とても贅沢な時間でした。

    全体を通して、Gofishとイ・ランの信頼関係が観客にも伝わり、それが一体感を生み出す素晴らしいライブだったように感じました。音楽っていいものだなと、月並みな表現ですが改めて認識させてくれる一夜でした。



    雨乃日コンサート#50を終えて

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    ちょうど50回目となる当店でのライブイベントが、去る3月17日に開催されました。久々のパク・ダハム君の企画のもと、日本からやってきてくれたのは電子オルガン奏者のAKI TSUYUKOさん。素敵なフライヤーを描いてくれたアーティストの松井一平さんも、一緒に当店を訪れてくれました。
    AKIさんについては、私たちが韓国に来る前から懇意にさせてもらっている金沢のバー「シラサギ」で演奏したことがあるとの事で、勝手に親近感を感じていました。

    知る人ぞ知るベテランアーティストの来韓ということもあり、当日はミュージシャンを中心に多くの音楽ファンが集まりました。
    対バンとしてまず演奏してくれたのは、昨年に初のEP『宝船』(当店でも発売中です)を発表したばかりのシンガーソングライター、チョ・ユルさん。透明感のあるミニマルなギター弾き語りをベースとしながら、生活音やノイズなど様々なSEを挟み込み独特の世界観を生み出していました。

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    次に登場したのがAKI TSUYUKOさん。キーボード3台を使い、箱を開けたらまた箱、とでも言うべきトリップ感のある魔法のような音楽をノンストップで披露。訪れた人たちも、スマホでの撮影は少なめにじっくりその世界に浸っていました。

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    なおこのライブの前日には、やはりダハム君の企画により、北海道出身のアーティスト・碧衣スイミングさんが、ショップ「宇宙萬物」とカフェ「一杯のルルララ」にてライブを敢行(3月末に閉店したルルララでの、最後のライブイベントでした)。
    もともと関係のあるAKIさんたちとタイミングが一緒になったのは全くの偶然だそうで、さらに偶然にも帰りの飛行機も一緒だったそうですが、そんな碧衣さんも雨乃日コンサートの打ち上げに参加してくれ、またチョ・ユルさんも日本語がうまいことがわかり、賑やかで楽しい会となりました。
    個人的には、ダハム君がこれまでの雨乃日でのライブの思い出を、いつの間に上手になった日本語でいろいろ話してくれたのが嬉しかったり。

    AKIさんたちの来韓は、ダハム君を始め、レーベル「SWEET DREAMS PRESS」の福田さんや、韓国人ファンのラフ君たちとの昔からの交流もあり実現したのですが、今回は特に人と人との、網のような不思議なつながりを意識する時間となりました。
    最後に焼き肉屋の主人に撮ってもらった集合写真(人物よりも看板が大きく写っている)を見て、このメンバーでまた集まる日がいつかあればいいと思いました。

    これはまた別の話ですが、後に私が新宿の書店「イレギュラーリズムアサイラム」で購入した、寺尾紗穂さんのエッセイを読んでいたらAKIさんと一平さんが登場して、うわーとなったり。

    椎木彩子さん個展、池間由布子さんとのライブパフォーマンスを終えて

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    2018年11月24日から12月2日までの2週間、当店にて画家・椎木彩子さんの個展「いろ、おと、カタチ」が開催されました。色鮮やかで引き算の美も感じさせる作品たちは、韓国の方にも大好評。椎木さんはソウル滞在中、韓国で出会ったものをモチーフに新作をつくるだけでなく、似顔絵を描きながら現地の人とコミュニケーションを深めており、そんな積極的に韓国と繫がろうとする姿も素敵に思えました。

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    また期間中の11月30日には、シンガーソングライターの池間由布子さんが歌い、椎木さんがライブペインティングする、歌と絵のパフォーマンス「海をはしって、山をおよぐ」も行われました。韓国では個人書店のYOUR MINDが以前から池間さんのCDを紹介し、既に知る人ぞ知る存在となっていたこともあり、チケットは早い段階で完売しました。

    当日は、池間さんの歌が始まり終わるまでのちょうど1時間、ノンストップで進行しました。ギターと声だけで奏でられる潮騒のような美しい音楽に、観客たちも没頭していた様子(池間さんがこの日のために準備した韓国語詞で自曲を披露する場面も)。音楽に合わせて、椎木さんのキャンパスの中に風景が生まれ、また暗闇に戻っていく様子は、懐かしい夢を見ているようでした。

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    椎木さんと池間さんによるパフォーマンスは、通常は舞踏家の長谷川宝子さんを含めた3人で、「海山隊」の名で行われています。お近くで行われた際は、ぜひ訪れてみてください。

    当店での展示は2週間だけでしたが、終わってみるとちょっと寂しく、また独自のやりかたで活動する二人のアーティストと時間を共にすることができ、私たちにとっても実りの多い展示でした。椎木さんの絵は、今もひとつだけ当店に貼ってあります。

    出張作曲家、キム・ドンサン


    キム・ドンサン『阿峴(アヒョン)屋台30年史』

    開放っ子として生まれた 銃口で穴を開けられた戸や窓から
    刺すような風が吹きつける 6歳の冬の夜
    母さんは行商に出た 抱龍丸を売る背負子のおばあさんたちが
    もし我が家に泊まっていくことがあれば 何でも食わせてやれと教わった
    10.26事態の頃にソウルにやってきた まだおじいさんが生きていた頃
    当時は新堂洞でヘジャングッの店をやり どうにかこうにか楽しく暮らしていた

    86年に屋台を始め 86・88ゲームをここで観た
    当時は辛い催涙弾の煙がここ阿峴洞まで毎日漂ってきた
    深夜営業を取り締まっていた時は 客たちが先に気配を感じ
    扉を閉めて蝋燭の火をつけて隠れてたら 取り締まり官も笑って見逃してくれた
    タルトンネに住んでいた20代たちも 今や五十になった
    果物を持って挨拶しにやってきた その時くれた名刺も撤去で全部なくなった

    90年代 非行少年は屋台の母さんに悩みを打ち明け
    IMF ひどい出来事を体験した人々が絶えず訪れた
    2006年以降 タルトンネは人々がひとりふたりと離れていった
    組合長の横領の8年間 そしてタルトンネはなくなっていった
    李承晩博士の時はもっと貧乏だったけど 今この世界はもっとケチくさい
    区庁長 あなたもあの時代を覚えているか? 聞いたが答えはなかった
    区庁長 あなたもあの時代を覚えているか? 聞いたが答えはなかった

    ※開放っ子…1945年生まれの子
    ※10.26事態…1979年の朴正煕暗殺事件
    ※86・88ゲーム…1986年アジア大会、1988年ソウルオリンピック
    ※タルトンネ…月の丘。斜面に庶民の家が迷路のように立ち並ぶ地域
    ※IMF…1997年韓国通貨危機



    世界を旅し現地の人たちと交流しながら演奏を続けるミュージシャン・枡本航太が、このたびも素敵なミュージシャンを連れて雨乃日珈琲店でライブを企画してくれました。「出張作曲家」こと、キム・ドンサン(金東山)。現場を訪れ人々の話を聞き、歌をつくって届けるスタイルからこう自称しているのですが、自立音楽生産組合(チャリプ)に所属し、不法な立ち退きを迫られる現場で歌うことも多いアーティストです。
    ライブもそのお人柄も素敵だったのですが(使い捨てのコーヒーカップを渡したら、家で使うからと持って帰っていらっしゃいました)、翌日改めて音源をじっくり聴いたらこれがまたむちゃくちゃいい。最小限のドラム・ベース・ギターによる、そしてどこか人の匂いのするバンドサウンドは、最近私が傾倒している日本の70年代フォークロック、生田敬太郎や岡林信康を連想させるものがあります。アルバム全曲がマイク1本による一発撮りのようで、なるほどです。
    そして何よりすごいのは、現代社会を描く深みのある歌詞。響きます。思わず代表曲を翻訳してみました。これほど強いリアリティと目的意識をもつ歌、最近はなかなかないのでは?
    彼のCD、当店でも扱っていますのでぜひ手に取ってみてください。


    この歌の舞台となる阿峴(アヒョン)洞は、山の斜面に沿って庶民の家が密集する地域だったのですが、2000年代後半から町ごと撤去工事が始まり(残念なことに、町ごとブルドーザーで平らにするような開発工事が、韓国ではたびたび行われます)、2014年にマンション団地が誕生します。さらにマンションの価格を上げたい入居者たちの要請を受け、住民に長く愛されてきた屋台村が2016年8月、商人の権利を無視し区庁により強制的に撤去されてしまいます。キム・ドンサンを始めとするミュージシャンたちはこの問題を知ってもらおうと、屋台跡地でライブを繰り広げました。

    雨乃日コンサート#46を終えて

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    3度目のご来店となる康勝栄さんを迎え、ノイズ中心のライブとなった「雨乃日コンサート#46」が、無事終了しました。パク・ダハム君の企画によって進められた今公演、秋夕(旧盆)前々日の連休中にも関わらず、多くの実験音楽ファンが訪れてくれました。ノイズに詳しくない私も、各種各様の演奏に思わず没頭し、たっぷり刺激を受けました。

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    トップバッターは、ロックバンド「有機農ビール」のゴウさん。やはりというか爆音の、迫力あるノイズに、壁を挟んだ隣のカレー屋が夜の営業を再開し、さらに上の階が突然ゲストハウスになった珈琲店の店主としては緊張する心情もあったのですが、聴いているうちに「ままよどうにでもなれ」という晴れやかな気分に。ロックなエナジーをたくさん受け取りました。

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    2番手は、前回「THSS」のひとりとして出演してくれた、アンビエント奏者のミン・ソンシクさん。いわゆる拍のない音楽ですが、緩やかな音の流れに隠れたビートを掘り起こしたい気分に。ふと観客を見ると、自分自身のビートを刻んでいる人もいれば、微動だにせず聴きこんでいる人もいて、人それぞれの解釈(時間の流れ)の違いに思いを馳せることができました。

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    最後は康勝栄さん。何か得体の知れないものが始まる感じが凄い! 静寂の中に狂気が潜む、圧倒的なオーラを放つパフォーマンスでした。個人的には、電流からランダムに生まれるボソッ、ボソッ、というノイズが脳に直接刺さるようで気持ちよく。これは聴くドラッグです。

    私はノイズ初心者ですが、詳しくないなりにも受け取るものの多いライブでした。皆さんもぜひ彼らの演奏を体験してほしいと思います。

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    서울시 마포구 동교동 184-12 101
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    2010年11月12日にオープンした、日本人が運営する弘大の喫茶店です。このブログでは、日本の皆様にソウルの状況をお伝えします。最新情報や臨時休業日は、韓国語サイトツイッターをご確認くださいませ。

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