椎木彩子さん個展、池間由布子さんとのライブパフォーマンスを終えて

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    2018年11月24日から12月2日までの2週間、当店にて画家・椎木彩子さんの個展「いろ、おと、カタチ」が開催されました。色鮮やかで引き算の美も感じさせる作品たちは、韓国の方にも大好評。椎木さんはソウル滞在中、韓国で出会ったものをモチーフに新作をつくるだけでなく、似顔絵を描きながら現地の人とコミュニケーションを深めており、そんな積極的に韓国と繫がろうとする姿も素敵に思えました。

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    また期間中の11月30日には、シンガーソングライターの池間由布子さんが歌い、椎木さんがライブペインティングする、歌と絵のパフォーマンス「海をはしって、山をおよぐ」も行われました。韓国では個人書店のYOUR MINDが以前から池間さんのCDを紹介し、既に知る人ぞ知る存在となっていたこともあり、チケットは早い段階で完売しました。

    当日は、池間さんの歌が始まり終わるまでのちょうど1時間、ノンストップで進行しました。ギターと声だけで奏でられる潮騒のような美しい音楽に、観客たちも没頭していた様子(池間さんがこの日のために準備した韓国語詞で自曲を披露する場面も)。音楽に合わせて、椎木さんのキャンパスの中に風景が生まれ、また暗闇に戻っていく様子は、懐かしい夢を見ているようでした。

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    椎木さんと池間さんによるパフォーマンスは、通常は舞踏家の長谷川宝子さんを含めた3人で、「海山隊」の名で行われています。お近くで行われた際は、ぜひ訪れてみてください。

    当店での展示は2週間だけでしたが、終わってみるとちょっと寂しく、また独自のやりかたで活動する二人のアーティストと時間を共にすることができ、私たちにとっても実りの多い展示でした。椎木さんの絵は、今もひとつだけ当店に貼ってあります。

    出張作曲家、キム・ドンサン


    キム・ドンサン『阿峴(アヒョン)屋台30年史』

    開放っ子として生まれた 銃口で穴を開けられた戸や窓から
    刺すような風が吹きつける 6歳の冬の夜
    母さんは行商に出た 抱龍丸を売る背負子のおばあさんたちが
    もし我が家に泊まっていくことがあれば 何でも食わせてやれと教わった
    10.26事態の頃にソウルにやってきた まだおじいさんが生きていた頃
    当時は新堂洞でヘジャングッの店をやり どうにかこうにか楽しく暮らしていた

    86年に屋台を始め 86・88ゲームをここで観た
    当時は辛い催涙弾の煙がここ阿峴洞まで毎日漂ってきた
    深夜営業を取り締まっていた時は 客たちが先に気配を感じ
    扉を閉めて蝋燭の火をつけて隠れてたら 取り締まり官も笑って見逃してくれた
    タルトンネに住んでいた20代たちも 今や五十になった
    果物を持って挨拶しにやってきた その時くれた名刺も撤去で全部なくなった

    90年代 非行少年は屋台の母さんに悩みを打ち明け
    IMF ひどい出来事を体験した人々が絶えず訪れた
    2006年以降 タルトンネは人々がひとりふたりと離れていった
    組合長の横領の8年間 そしてタルトンネはなくなっていった
    李承晩博士の時はもっと貧乏だったけど 今この世界はもっとケチくさい
    区庁長 あなたもあの時代を覚えているか? 聞いたが答えはなかった
    区庁長 あなたもあの時代を覚えているか? 聞いたが答えはなかった

    ※開放っ子…1945年生まれの子
    ※10.26事態…1979年の朴正煕暗殺事件
    ※86・88ゲーム…1986年アジア大会、1988年ソウルオリンピック
    ※タルトンネ…月の丘。斜面に庶民の家が迷路のように立ち並ぶ地域
    ※IMF…1997年韓国通貨危機



    世界を旅し現地の人たちと交流しながら演奏を続けるミュージシャン・枡本航太が、このたびも素敵なミュージシャンを連れて雨乃日珈琲店でライブを企画してくれました。「出張作曲家」こと、キム・ドンサン(金東山)。現場を訪れ人々の話を聞き、歌をつくって届けるスタイルからこう自称しているのですが、自立音楽生産組合(チャリプ)に所属し、不法な立ち退きを迫られる現場で歌うことも多いアーティストです。
    ライブもそのお人柄も素敵だったのですが(使い捨てのコーヒーカップを渡したら、家で使うからと持って帰っていらっしゃいました)、翌日改めて音源をじっくり聴いたらこれがまたむちゃくちゃいい。最小限のドラム・ベース・ギターによる、そしてどこか人の匂いのするバンドサウンドは、最近私が傾倒している日本の70年代フォークロック、生田敬太郎や岡林信康を連想させるものがあります。アルバム全曲がマイク1本による一発撮りのようで、なるほどです。
    そして何よりすごいのは、現代社会を描く深みのある歌詞。響きます。思わず代表曲を翻訳してみました。これほど強いリアリティと目的意識をもつ歌、最近はなかなかないのでは?
    彼のCD、当店でも扱っていますのでぜひ手に取ってみてください。


    この歌の舞台となる阿峴(アヒョン)洞は、山の斜面に沿って庶民の家が密集する地域だったのですが、2000年代後半から町ごと撤去工事が始まり(残念なことに、町ごとブルドーザーで平らにするような開発工事が、韓国ではたびたび行われます)、2014年にマンション団地が誕生します。さらにマンションの価格を上げたい入居者たちの要請を受け、住民に長く愛されてきた屋台村が2016年8月、商人の権利を無視し区庁により強制的に撤去されてしまいます。キム・ドンサンを始めとするミュージシャンたちはこの問題を知ってもらおうと、屋台跡地でライブを繰り広げました。

    雨乃日コンサート#46を終えて

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    3度目のご来店となる康勝栄さんを迎え、ノイズ中心のライブとなった「雨乃日コンサート#46」が、無事終了しました。パク・ダハム君の企画によって進められた今公演、秋夕(旧盆)前々日の連休中にも関わらず、多くの実験音楽ファンが訪れてくれました。ノイズに詳しくない私も、各種各様の演奏に思わず没頭し、たっぷり刺激を受けました。

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    トップバッターは、ロックバンド「有機農ビール」のゴウさん。やはりというか爆音の、迫力あるノイズに、壁を挟んだ隣のカレー屋が夜の営業を再開し、さらに上の階が突然ゲストハウスになった珈琲店の店主としては緊張する心情もあったのですが、聴いているうちに「ままよどうにでもなれ」という晴れやかな気分に。ロックなエナジーをたくさん受け取りました。

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    2番手は、前回「THSS」のひとりとして出演してくれた、アンビエント奏者のミン・ソンシクさん。いわゆる拍のない音楽ですが、緩やかな音の流れに隠れたビートを掘り起こしたい気分に。ふと観客を見ると、自分自身のビートを刻んでいる人もいれば、微動だにせず聴きこんでいる人もいて、人それぞれの解釈(時間の流れ)の違いに思いを馳せることができました。

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    最後は康勝栄さん。何か得体の知れないものが始まる感じが凄い! 静寂の中に狂気が潜む、圧倒的なオーラを放つパフォーマンスでした。個人的には、電流からランダムに生まれるボソッ、ボソッ、というノイズが脳に直接刺さるようで気持ちよく。これは聴くドラッグです。

    私はノイズ初心者ですが、詳しくないなりにも受け取るものの多いライブでした。皆さんもぜひ彼らの演奏を体験してほしいと思います。

    遠藤ミチロウさんライブを終えて

    報告が遅くなりましたが、先月に当店で行われた遠藤ミチロウさんライブ、大盛況のうちに幕を閉じました。まさに伝説の一夜となりました。

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    対バンはフェギドン・タンピョンソン。熱のこもった演奏が場を盛り上げます。ちなみに彼も以前からスターリンの音楽を聴いたそうで、ライブ後、レコードにサインしてもらっていました。

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    ミチロウさんの生命力あふれるパフォーマンスを前に、観客たちも真剣な眼差しで耳を傾けていました。

    韓国でもスターリンの知名度は高いようで、サインをもらおうとレコードを持ってやってきた音楽ファンや、現役のパンクミュージシャンたちが当店に終結。中には、昨年の堤川国際音楽映画祭で上映された『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』を観て、ファンになったという方もいらっしゃいました。

    ミチロウさんはギター1本で、1時間を越える演奏を披露。闘病中で杖をついていらっしゃるとは全く思えないパワフルなパフォーマンスで、1曲ごとに送られる観客たちの拍手がとても熱かったのが印象的でした。
    さらに自曲の『カノン』を、韓国語で歌う場面も。佐藤行衛さんが事前に翻訳歌詞を準備し、その動画を見ながら練習されたそうです。アンコールでは韓国の方のリクエストで、スターリンの『ロマンチスト』を熱唱! 最高潮での幕引きとなったのはもちろん、個人的にもとてつもないものを目の当たりにした気分になりました。

    彼のことを語る時に、ついつい「伝説のパンクバンドを率いた~」と言ってしまいますが、今が最も熱い、現在進行形のアーティストだということを実感する、圧巻のライブでした。いま思い出しても、しゃんとせねばと背筋が伸びる気になります。

    そしてミチロウさんは翌日からの堤川映画際への遠征を無事終え(事前通知なく、いきなりレッドカーペットを歩くことになったとおっしゃっていました……韓国ではありがちなことです)、また韓国でライブしたいとおっしゃってくれています。
    再び韓国の方の胸に何かを残してくれるであろうその日を、今から心待ちにしたいと思います。

    奈良美智さんスライドショーを終えて

     去る8月2日(水)夜8時に、奈良美智さんのスライドショーが当店にて開催されました。前日にご提案をいただき、急きょSNSによる告知を行ったのですが、25名の定員が一瞬にして埋まるプレミアイベントとなりました。
     当日は、作品の背景となる自身のルーツや最近の活動、作品が生まれていく過程などの写真をプロジェクターで見せながら、通訳を通して2時間ほどお話ししてくださいました。最後には、タテタカコさんの音楽にあわせて奈良さんの絵がアニメーションで動く、貴重な作品を上映。参加者は皆20^30代の韓国の方で、真剣に映像を見つめる姿が印象的でした。
     私たちにとっても、奈良さんの作品の底なしの深さに触れながら、自身のことを見直すきっかけとなる、宝物のような2時間となりました。またこのような時間が訪れてくれるよう、私たちなりの活動を地道に続けていきたいと思いました。

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    奈良美智 for better or worse
    2017年7月15日~9月24日豊田市美術館 

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    2010年11月12日にオープンした、日本人が運営する弘大の喫茶店です。このブログでは、日本の皆様にソウルの状況をお伝えします。最新情報や臨時休業日は、韓国語サイトツイッターをご確認くださいませ。

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