鍵をなくした

    先日、バス・タクシーと乗り継いで店に戻ってきた際、どこかで鍵をなくしたことに気が付きました。タクシーならば領収書に車の番号が書いてあり、タクシー会社に連絡すれば何とかなるものですが、困ったことに(韓国の皆がそうするように)カードでぱっと支払い領収書をもらいませんでした。これは困った。

    しかしいろんなところに電話してみたところ、「ティーマネー顧客センター(1644-0088)」に電話すれば、カードの利用履歴から乗車したタクシーやバスのナンバーがわかるというのです。ティーマネー機能のない、ただの現金カード(デビットカードのようなもの)だったのですが大丈夫なのでしょうか?

    疑心暗鬼ながら電話をかけ、案内通りにカード番号や利用日などを入力したところ、見事に車のナンバーが判明しました。これは凄いシステムです。これなら確かにみんな、現金ではなくカードを使うわけです。

    幸い、鍵はバスで落としたことが判明。バス会社の人から「キーホルダーの特徴は?」と言われて少し言葉がつまりましたが、私のものだと分かり、バスの車庫があるソウルの果てまで出かけてきました。事務所に行き、机に座っていたおじさんに「鍵をなくしたのですが…」と言うと、キーホルダーの特徴など何も聞かず、机の上に置いてあった私の鍵の束をめんどくさそうによこしてくれました。皆さんも、誤解を受けそうなキーホルダーは落とさないほうがいいと思いますよ。

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    雨乃日コンサート#50を終えて

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    ちょうど50回目となる当店でのライブイベントが、去る3月17日に開催されました。久々のパク・ダハム君の企画のもと、日本からやってきてくれたのは電子オルガン奏者のAKI TSUYUKOさん。素敵なフライヤーを描いてくれたアーティストの松井一平さんも、一緒に当店を訪れてくれました。
    AKIさんについては、私たちが韓国に来る前から懇意にさせてもらっている金沢のバー「シラサギ」で演奏したことがあるとの事で、勝手に親近感を感じていました。

    知る人ぞ知るベテランアーティストの来韓ということもあり、当日はミュージシャンを中心に多くの音楽ファンが集まりました。
    対バンとしてまず演奏してくれたのは、昨年に初のEP『宝船』(当店でも発売中です)を発表したばかりのシンガーソングライター、チョ・ユルさん。透明感のあるミニマルなギター弾き語りをベースとしながら、生活音やノイズなど様々なSEを挟み込み独特の世界観を生み出していました。

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    次に登場したのがAKI TSUYUKOさん。キーボード3台を使い、箱を開けたらまた箱、とでも言うべきトリップ感のある魔法のような音楽をノンストップで披露。訪れた人たちも、スマホでの撮影は少なめにじっくりその世界に浸っていました。

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    なおこのライブの前日には、やはりダハム君の企画により、北海道出身のアーティスト・碧衣スイミングさんが、ショップ「宇宙萬物」とカフェ「一杯のルルララ」にてライブを敢行(3月末に閉店したルルララでの、最後のライブイベントでした)。
    もともと関係のあるAKIさんたちとタイミングが一緒になったのは全くの偶然だそうで、さらに偶然にも帰りの飛行機も一緒だったそうですが、そんな碧衣さんも雨乃日コンサートの打ち上げに参加してくれ、またチョ・ユルさんも日本語がうまいことがわかり、賑やかで楽しい会となりました。
    個人的には、ダハム君がこれまでの雨乃日でのライブの思い出を、いつの間に上手になった日本語でいろいろ話してくれたのが嬉しかったり。

    AKIさんたちの来韓は、ダハム君を始め、レーベル「SWEET DREAMS PRESS」の福田さんや、韓国人ファンのラフ君たちとの昔からの交流もあり実現したのですが、今回は特に人と人との、網のような不思議なつながりを意識する時間となりました。
    最後に焼き肉屋の主人に撮ってもらった集合写真(人物よりも看板が大きく写っている)を見て、このメンバーでまた集まる日がいつかあればいいと思いました。

    これはまた別の話ですが、後に私が新宿の書店「イレギュラーリズムアサイラム」で購入した、寺尾紗穂さんのエッセイを読んでいたらAKIさんと一平さんが登場して、うわーとなったり。

    乙支路

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    昨年末ごろから、ソウル都心の乙支路エリアの開発が急に進み注目を集めています。もちろんこうした都市開発は今に始まったことではありません。ソウル市のあちこちで古き良き街並みがブルドーザーで壊され、個性のない高層マンションが続々と生まれています。
    そうした中でも乙支路エリアは、ソウルの中心にも限らずエアポケットのように小さな工場が密集しており、そのため息の長い庶民的な飲み屋や名店も多く、近年は家賃の安さに目を付けた若者たちが、隠れ家のように個性的なショップを出店し始めたこともあり、多くの人々に愛される地域となっていました。ソウル市長は開発の再検討を発表していますが、一方で撤去作業の勢いは止まることはなく、ソウル市に失望する人が増えています。
    私たちも冬のある日、歴史と人情が積み重なる光景を惜しみながら、乙支路の街を散策しました。

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    そして今月、開発とは別の文脈で、乙支路に関する悲しいニュースが聞こえてきました。1980年から続く味のある飲み屋「OB HOF(ホプ)」が、家主の一方的な決定により追い出されることになってしまったのです。
    韓国ではだいたい2年ごとに不動産を契約しなおすことになるのですが、契約更新時に「別の人に貸すことになったから出て行ってほしい」と言われてしまったそう。2代目社長にとっては思い入れのある店舗であり、家賃を倍出すと提案しても、応じてくれないそうです。
    現在訴訟中とのことですが、一体どうなることでしょう。韓国の現状の法律では先行きは厳しそうです。

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    蔚山アナカフェ

    北陸中日新聞3月26日の『雨乃日珈琲店だより(15)』は、蔚山に移転した「アナカフェ」について書きました。
    自家焙煎のコーヒーがすっきりとして美味しいことはもちろん、素朴な空間も魅力的な、蔚山に行ったらぜひ訪れてほしいお店です(日曜はお休み)。いやアナカフェに行くために蔚山を訪れてもいいくらい。ついでに蔚山名物のクジラ料理など食べてみてください。

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    その日の夜、アナさんに教えてもらって近所のテジカルビの店に行ったのですが、豚カルビもモクサルもソンジヘジャングク(固めた牛の血の塊がごろごろ入っているスープ)も、これまで食べたことないほどおいしかったです。場所はアナさんに聞いてみてください!

    カネコアヤノと寺尾紗穂とイ・ラン

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    2月17日、旧ソウル駅舎にて開かれた、市主催の無料ライブイベント「RTO365-2019年のサウンド」に行ってきました。日本からカネコアヤノと寺尾紗穂、韓国からイ・ランという、各方面で話題を集める3人のシンガーソングライターが出演したのですが、表現とコミュニケーションについて考えさせる印象深いライブだったので、あわててレポートを書きたいと思います。敬称略です。

    最初に登場したのはカネコアヤノ。前日はバンドセットで出演し、韓国ロックバンドのキョジョンセイスミと共演しました。
    この日の弾き語りでも、骨太なギター、観客の胸に直接投げつけるようなボーカルが、オーディエンスを魅了。そして何より、安易なコミュニケーションを拒み、ひたすら自身の表現と向き合うストイックなパフォーマンスが印象的でした。MCは最初と最後のひとこと以外なし。さらに観客から自発的に始まった手拍子を制したのはちょっと驚いたのですが、彼女のひたむきさに観客も、曲の意味は分からなくとも何かを感じ、ぐいぐい引きこまれていたようでした。そんな中、韓国人による「アンコールお願いしますー」という日本語の声援に、「よっしゃー!」とうつむき加減で叫んだ彼女の姿が、私にはとても良いものに感じました。

    一方、次に登場した寺尾紗穂は、MCの時間を充分にとり、韓国語のメモを読みあげ曲を紹介しながら演奏していくスタイル。オーディエンスとのコミュニケーションにここまで力を入れる海外アーティストを、はじめて観たかもしれません。ずいぶん長いメモにも関わらず、観客にちゃんと伝わっていたのが凄いと思ったのですが、韓国語を少し勉強したことがあるそう。
    彼女のライブに触れるのは初めてだったのですが、透明な声で歌いあげる日本の民謡・童謡に、私も心が震えました。もともとは楽しいはずのこれらの曲を聞いて無性に寂しい気持ちになるのは、私が日本人だからでしょうか。そして韓国人たちはどう感じたのでしょう。彼らが一曲一曲に送る拍手には、より心がこもっていたように感じました。

    最後に登場したのはイ・ラン(サポートにチェロのヘジ)。日本人アーティストふたりに言葉の壁があったのとは違い、言語面ではホームグランドです。まず出だしのMCから冴えまくっていました。登場するなり、「カネコアヤノさんの高価なギターを借りて弾こうとしましたが、セッティングに時間がかかりすぎ、結局いつも通り自分の安いギターを弾くことにしました。欲を出してはいけないと悟りました」と話し、会場を笑いに包みながら演奏開始。改めて聴くと彼女の3万5000円のギターは、他の人には出せない魔法のような魅力を発します。
    新曲『よく聞いていますよ』を皮切りに数曲演じた後、「植民地時代の建物で日本人と韓国人がライブすることになりました」から始まる、禁断の植民地ジョークが炸裂。フリーライブでそのネタは危険なのではと内心ハラハラしたのですが、次に歌いだした曲は『平凡な人』。しかも韓国語詞と日本語詞を交互に入れ替えながら! 歌ひとつで人と人の谷間をするりと飛び越えてしまう、彼女の表現のしなやかさに思わず感動させられます。
    以降も絶妙なトークを交えながら(「韓国人は恨の民族だから恨みを解消するのも上手いはず」トークからの、『笑えユーモアに』合唱など)、アルバム曲をたっぷり演奏。寺尾紗穂とお互いの曲『ラッキーアパート』『楕円の夢』を一緒に演奏しあうシーンもありました。自分のステージで観客とのコミュニケーションを十分にとりながら、共演した日本人アーティストと観客との距離を縮めていく、その姿に音楽家としてだけではない表現者としての貫禄を見せつけられました。

    彼女たちの活動に「日韓交流」といった単語を安易に当てはめる必要はないと思いますが、日本と韓国のアーティストが、様々な形のコミュニケーションを行ったり来たりしながら自分の表現を生み出している姿にとても刺激を受けた次第です。改めて出演したアーティストたちと、そして今回のイベントをブッキングしたオーガナイザーの八幡さんに拍手を送りたいです。

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    2010年11月12日にオープンした、日本人が運営する弘大の喫茶店です。このブログでは、日本の皆様にソウルの状況をお伝えします。最新情報や臨時休業日は、韓国語サイトツイッターをご確認くださいませ。

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